楽しみ尽くす住処
内と外、家族と自分時間がゆるやかにつながる家。
富山県滑川市
CONCEPT
暮らすだけではなく、
家で過ごす時間そのものを楽しむ。
家は、ただ帰って休むためだけの場所ではない。
料理を楽しむ時間。家族でくつろぐ時間。外で過ごす休日。仕事や趣味に集中する時間。ひとりで静かに過ごす時間。
それぞれの「好きな時間」を、家の中でもっと楽しめるように。
この住まいでは、大きな吹き抜けのあるLDKとアウトドアリビングを中心に、家族が集まる場所と、それぞれが思い思いに過ごせる居場所を緩やかにつなぎました。
視線の抜け、光の入り方、内と外の連続性、家族と来客の動線。開放感だけを求めるのではなく、心地よく暮らすための距離感まで丁寧に整えています。
日常の中に、少しだけ非日常を。「家で過ごすことそのものが楽しい」と思える暮らしをかたちにした住まいです。
DESIGN 01
上へ、外へ。
視線が伸びる大らかなLDK
約28帖のLDK。その広さを、床面積だけで終わらせないこと。
リビングの上部には大きな吹き抜けを設け、さらに外へと続く大開口を組み合わせることで、視線が上へ、そして外へと抜けていく空間をつくりました。
階段も壁で囲わず、空間の一部として軽やかに。高さ、奥行き、光。それぞれを重ねることで、数字以上の広がりを感じられるLDKにしています。
間接照明のやわらかな光も、空間の輪郭を美しく引き立てます。
DESIGN 02
内と外の境界を曖昧にする
アウトドアリビング
リビングの先に広がるのは、約14帖のアウトドアリビング。
室内とテラスには同じデザインのタイルを用い、窓を開けば、内と外がひと続きの大きな居場所として感じられるように計画しました。
家族で食事をしたり、子どもが遊んだり、友人を招いてバーベキューを楽しんだり。屋根があることで、天候に左右されにくいのもこの場所の魅力です。
一方で、外からの視線はコンクリート擁壁によってやわらかく遮る。「外へ開くこと」と「落ち着いて過ごせること」。相反するふたつを両立させることで、家族だけのもうひとつのリビングが生まれました。
DESIGN 03
「料理する場所」から、
家族が集まる場所へ。
キッチンには、ご夫婦が並んで料理を楽しめるⅡ型のレイアウトを採用しました。機能性だけではなく、ここから何が見えるのかも大切にしています。
キッチンに立つと、ダイニング、リビング、そしてその先に広がるテラスまで視線が伸びていく。料理をしながら家族の気配を感じ、外で遊ぶ子どもたちにも目が届きます。
木目と石目を組み合わせた素材や、天井にすっきりと納めたライン照明によって、モダンな空間の中にも温かさを。
家事のためだけではなく、「ここに立っている時間が好き」と思えるキッチンを目指しました。
DESIGN 04
家族とつながりながら、
自分の時間にもこもれる場所。

大きく開放的なLDKのそばに、あえて少し小さな居場所をつくりました。
ダイニング横に設けた約4帖のワークスペース。仕事をしたり、本を読んだり、子どもが遊んだり。
腰壁の高さを調整することで、LDKとのつながりを残しながらも、座ったときには適度な「こもり感」が生まれます。
家族と同じ空間にいることと、自分のことに集中すること。どちらかを選ぶのではなく、その両方を叶える場所です。
DESIGN 05
帰宅した瞬間から、
暮らしが自然に整っていく。
美しい家であることと、暮らしやすい家であること。そのふたつは、別々のものではありません。
玄関を中心に、来客を迎えるパブリックゾーンと、家族が日常的に使うファミリーゾーンを分けました。
帰宅後は、シューズクロークからウォークインクローゼットへ。荷物を片付け、着替え、洗面やランドリーを経て生活空間へとつながっていきます。
「家事動線を短くする」というより、毎日の行動が自然な順番でつながっていること。生活感を無理に隠すのではなく、暮らしそのものが整いやすくなる設計です。
01 玄関
02 シューズクロークへ
03 ウォークインクローゼット
04 洗面
05 ランドリー
DESIGN 06
今の暮らしだけでなく、
これからの家族にも余白を。
家を建てた瞬間に、すべての使い方を決めてしまう必要はありません。
2階には約10帖のフリースペースを設けました。子どもが小さいうちは遊び場として。家族で過ごすセカンドリビングとして。そして将来、必要になればひとつの個室へ。
大きな窓の先にはケヤキ並木が広がり、季節の変化も感じられます。
家族構成やライフスタイルが変わっても、その時々に合わせて住まいの使い方も変えていける。あえて決めすぎない「余白」も、設計のひとつです。
DESIGN 07
光と素材でつくる、
日常の中の非日常。
ホテルライクな空間は、高級な素材を使うだけでは生まれません。
光の当て方。素材の質感。色の重なり。目に入るものと、あえて見せないもの。
寝室では、ふかし壁に仕込んだ間接照明が壁と天井をやわらかく照らし、一日の終わりに気持ちを静かに切り替えられる空間に。
トイレや手洗いといった小さな場所にも、照明や素材の選び方によって、それぞれ異なる表情を与えています。
何気なく過ごす日常の中に、少しだけ特別な時間を。そんな小さな積み重ねが、この家の心地よさをつくっています。
ARCHITECT
建築家プロフィール
内山 里江
comodo design architectural design office
山口県出身。専門学校卒業後、住宅、店舗の建築設計・デザインを中心に従事。2005年にコモドデザイン一級建築士事務所を設立。現在に至る。
ARCHITECT’S NOTE
建築家からの一言
家の中に、
「好きな場所」がいくつもある住まいへ。
この家で大切にしたのは、家族が暮らしそのものを楽しめること。
大きなLDKとアウトドアリビングをつなげるだけではなく、ワークスペースや2階のフリースペースなど、性格の異なる居場所を家の中にいくつもつくりました。
家族で集まりたいときも、一人で過ごしたいときも、その日の気分に合わせて居場所を選ぶことができます。
また、室内とテラスの素材を連続させたり、吹き抜けから光を取り込んだりすることで、家の中にいても外の広がりを感じられるようにしました。
暮らしを整える動線と、暮らしを楽しむための余白。その両方を大切にした住まいです。

















